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2004/04/04

無年金障害者(1)

先月24日(平成16年3月24日)、東京地裁で「無年金障害者を放置しているのは違憲状態である」とする、きわめて画期的な判決が下されたことを、既にお伝えしましたよね。
この背景には、障害基礎年金(国民年金の一種)にかかわる問題が存在しています。

で、まずは簡単な「おさらい」から(苦笑)。
障害基礎年金には、以下の2種類があります。ここがポイント!

20歳前の障害によるもの
20歳を迎えたら「国民年金制度に加入する」ことを前提に、20歳になったら障害基礎年金を支給する、というタイプ。
実際には、障害基礎年金を受給すると、国民年金保険料の納付は免除されます(但し、厚生年金制度に加入してしまう<要するに、就職してしまう>とダメ。実は、厚生年金の保険料の中には国民年金の保険料が含まれているんですけれどね。)。

20歳を過ぎてからの障害によるもの
通常の国民年金保険料を支払った結果として、20歳を過ぎて初めて障害を持った場合に支給する、というタイプ。

さて。
無年金障害者」というのは、「上記2つの障害基礎年金のしくみを知っていれば障害基礎年金を受けられたかもしれないのに、知らなかったために、その後、障害基礎年金を全く受け取れなくなってしまった」障害者たちのことを言います。
2年前の推計(厚生労働省)では、全国に約 4,000人。実際には、その倍近くはいるんじゃないでしょうか?

この障害基礎年金制度。これは、1985年の「国民年金法改正」によって創設されました。
さらに、1989年には、(20歳を迎えた)学生が「(国民年金制度への)強制加入」の対象となりました。
で、問題は、その間の扱い。「強制加入」となるまでは学生は「任意加入でしたし、なおかつ、1985年当時に国民年金制度に加入しないと、障害を持ったらとんでもないことになるゾ!」ということが、ほとんどといってよいほどPRされてなかったわけです。
まぁ、それだけが理由ではないんでしょうけれど(何しろ、面倒くさいからなー)、学生は定収もありませんから、国民年金制度に加入(任意加入)しなかった学生が大半でした。100人に1人しか加入していなかったとか。

ところが、これが致命的になるんですよねぇ。
学生時代に国民年金制度に加入しないまま、もし歳を取ってから重い障害を持ってしまうと、障害基礎年金は全く受けられないので、経済的サポートがゼロに等しくなってしまうんです。
というのは、上記の「」にもあてはまらなければ、かといって「」にもあてはまらないから。
「制度を知らなかった(判決によれば「知らされていなかった」という表現になるようですけど)」がゆえに、「」にも「」にもあてはまらなくなる…。その結果として、「無年金障害者」が生まれてしまったわけです。

一方、もしも「20歳前の障害」(発症が20歳前、ということ)だったとしたら?
もうおわかりかと思いますけど、障害基礎年金を受給できる可能性が出てきます。
ただ、障害基礎年金は、自分から申請して初めて受け取れる、という性質を持つものなので、上記で説明した「」や「」のしくみを知らなければ(知らされていなければ)、これまた、受け取れるはずの額をみすみす逃がしてしまうことになってしまうんですよね。

判決では、要するに、「この「」と「」のようなしくみをほとんどPRしなかったことが無年金障害者を生み出した。行政のこういう怠慢は違憲状態だ。」と言っています。日本国憲法第25条第1項に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が侵されているんだと。
正直言って、「ほぉ~っ!とうとうそこまで言うかぁ!」っていうのが実感でした。「わかってはいても、結局は行政に追随しちゃう」っていう判決は多いですからねぇ。

判決もともかくとして、年金をはじめとする行政の福祉制度って、とにかくわかりづらいし、使いづらい!
とりあえず制度は作るんだけど、実際に活用できるものとは言いがたいんですよねぇ。「仏作って魂入れず」みたいな感じ。う~ん…。
これ自体が憲法違反なんじゃない?、って言ったら、言い過ぎかな?

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