« 感音性難聴の人の再就職活動(1) | トップページ | “音”を見たことありますか? »

2004/08/09

感音性難聴の人の再就職活動(2)

こんにちは。
ちょっと間が開いてしまいましたけど、「感音性難聴の人の再就職活動」シリーズの第2回目です。

このシリーズ(各回共通)では、「健聴者だった人が、その後、感音性難聴のために聴こえが悪くなってしまった」というケースを前提に、主に「以下の1~3に掲げる理由から再就職活動をせざるを得なくなってしまった」と想定しました。

今回(第2回目)は、「既に身体障害者手帳を持っているので、ハローワーク(公共職業安定所/職安)の身体障害者枠(求人および求職)を利用できる」という条件の下にお話ししますね。
身体障害者手帳をまだ持っていない、あるいは、身体障害者として認定されるかどうかわからない・認定されないなどのケースについては、別の機会に触れたいと思います。

※ 健聴者 … 聴こえには特に異常が見られない人
※ 上記でいう「その後」… 特に、「思春期を過ぎてから」又は「社会人になってから」
※ 法でいう「身体障害者」… 身体障害者手帳を持っている人

1.聴こえがかなり悪くなったので、仕事を辞めざるを得なくなった(解雇も含む)
2.職場でのコミュケーションがかなりしんどいので、転職を考えている
3.いまの職種では相当無理があるので、聴こえが悪くても大丈夫な職業・職種へ転職したい

さて。
感音性難聴は、一般に「音そのものを聴く能力(純音聴力)と比較すると、言葉を聴き取って内容を理解する能力(言語聴能)がかなり悪い」というのが、最大の特徴です。
そのため、相手と会話しているとき、極端な場合には「音自体は聴こえるものの、内容はまるで外国語を聴いているようだ」と感じ、話していることがほとんどわからなかったりします。
なので、ビジネスの現場になると、正直言って致命的。相手と1対1で向き合って話しているときには相手の口が見えるのでまだ何とかなるものの、会議とかアフターファイブの飲み会などで大ぜいになるともうダメだったり、電話の内容がとんと理解できなかったり。精神的にもかなりきついです。

身体障害者(身体障害者手帳を持っている人)および知的障害者(療育手帳を持っている人)については、障害者雇用促進法により、企業等には雇用義務があります。
ハローワークが特別に身体障害者枠を設けている、というのは、これが根拠になってます。
言い替えると、身体障害者手帳や療育手帳を持っていれば、自分の障害をより前面に出して求職活動・再就職活動を行なったほうがよいのでは?、と言えると思います。

そこで、あくまでも私論なんですけど、上記で掲げた理由による再就職活動を行なう感音性難聴の人が気をつけるべきポイントを、私なりにまとめてみました。
再就職を希望する企業などを実際に見学して、以下のポイントを確認できればベストです。
ちなみに、身体障害者専門の民間職業紹介会社「株式会社 ゼネラルパートナーズ」さんからも、同様のアドバイスを受けています。

【再就職活動にあたってのポイント】

ア.筆談での対応が十分に行なわれること(簡易筆談器やメモ用紙などで)
 ・採用面接試験のとき(意外な盲点!)
 ・実務のとき
 ・日常的なやりとりのとき
イ.ホワイトボードを積極的に利用していること(常備されている必要がある)
 ・会議のとき
 ・情報伝達のとき
ウ.会議の前にレジュメ(議案)を用意してくれること
エ.会議の時に介助者(内容を記録してくれたりする人)を付けてくれること
オ.会議の後で議事録などを作成して、十分に内容を説明してくれること
カ.業務手順に関するフローチャート(流れ図)を用意してくれること
キ.電話に代わる手段(FAXやEメール)が日常的に使われていること
ク.緊急連絡(例:事故などによる遅刻・欠勤)の際に、Eメールでやりとりできること
ケ.その職場で聴覚障害者の雇用実績があること
コ.採用内定後、実際の就労前に打ち合わせや研修の時間を必ず確保してくれること
サ.補聴器を用いても話の内容がわかるとは限らない、ということを十分理解してくれること

※ 簡易筆談器「かきポンくん」… http://www.wp1.co.jp/005hitsudan/kakipon.html
(発売元:株式会社 ワールドパイオニア … http://www.wp1.co.jp/
※ 株式会社 ゼネラルパートナーズ … http://www.generalpartners.co.jp/
(登録および職業紹介など、一切の費用は無料)

ところで。
本人も採用側も勘違いしやすいところですが、手話の利用はまず期待できないと思ったほうがよいでしょう。たとえ障害者本人が手話を使えても、です。
というのは、ほとんどの場合、企業などに手話を理解できる・使える人がいないからです。
逆に、企業などのほうで手話を使われても、感音性難聴の人の場合、幼少の頃から手話に接していた人はともかくとして、一般に、あまり手話の内容を理解できないことが少なくありません。要するに、手話をなかなか使いこなせていないわけですね。
なので、「文字や図表を使って“視覚的”に情報を補う、という手段がその職場で確保されていること」のほうが、はるかに重要です。筆談はもちろん、EメールやFAXの利用などがそれです。
言い替えると、ここが「ろう者」との最大の違いでもあるわけで、「同じ“聴覚障害者”であっても、実は、全く違うんだ」ということをしっかり伝える必要がある、とも言えます。
それがきちっとできるかどうかで感音性難聴の人の再就職活動が大きく左右される、と言っても、過言ではないと思ってます。

|

« 感音性難聴の人の再就職活動(1) | トップページ | “音”を見たことありますか? »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。