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2005/08/06

障害者自立支援法~応益負担原則

【応益負担(自己負担)の計算の基本原則】

障害者自立支援法第29条第1項及び第4項に基づくもの。
手順 1 → 4 の順で見てゆく。

手順 1:
障害福祉サービスの利用者本人(障害者本人)が次の1~4のどの世帯に属しているかを見る。

1.一 般
世帯主及び家族全員(本人を含む。以下同じ。)に、市町村民税(以下「市民税」)が課税されている。
2.低所得者2
世帯主及び家族全員の、市民税の「均等割」が非課税である。
<想定例>
世帯全体の年間収入が概ね300万円未満で、本人を含む3人世帯であり、本人が1級障害基礎年金を受給している場合。
3.低所得者1
世帯主及び家族全員の市民税が非課税であって、かつ、いずれの者も年間収入が概ね80万円(2級障害基礎年金相当)未満である。
<想定例>
グループホームで単身生活を送る、2級障害基礎年金だけしか収入のない障害者。
4.生活保護
生活保護を受けている世帯(もちろん、本人だけの世帯でも)。

<補足>
市民税とは、人口等による「均等割」と本人の所得による「所得割」の合計額。
それぞれの内容や金額は、市民税納付通知書(いわゆる「市民税の請求票」)に載っている。
より関心を持って、じっくり納付通知書を見てほしい。

手順 2:
障害福祉サービスを利用したら、それぞれのサービスの種類毎に、その各サービスの原則1割を自己負担額だと考える。

手順 3:
上記「手順 2」にもかかわらず、「手順 1」で見たいずれにあてはまるのかによって、当面の間、月額の負担額は下記の額を上限とする(1か月毎の計算)。

1.一 般
 ¥40,200
2.低所得者2
 ¥24,600
3.低所得者1
 ¥15,000
4.生活保護
 ¥0

手順 4:
「手順 3」にしたがって「手順 2」の額を修正し、それ(月額上限額)に対して、日用品費と食費等を加算する。
この合計額が、実質的な自己負担額となる。

<補足>
入所施設等のサービスを利用する際の日用品費や食費等は、基本的に「全額自己負担」となる。
これは、介護保険制度と同様、「ホテルコスト」の考え方が導入されたため。
但し、当面の間、このうちの一定額を「附加給付」として助成することも検討する、とされている。

<試算>
障害者の多数を占める「低所得者2」の層では、月額の自己負担額が、最大で以下のとおりとなる。
1か月の2級障害基礎年金(約¥66,000)がまるまる消えることになり、もはや、年金を貯蓄や余暇に廻すことは不可能。
 障害者自立支援制度そのものの利用 … ¥24,600
 日用品費 … ¥6,000(¥200×30日)<嗜好品代等も含む>
 食費 … ¥36,000(¥400×3食×30日)
 計: ¥66,600


【扶養義務者による負担の廃止】

いままで:
1.利用者本人による負担
 (本人の収入に応じて額を設定)
2.本人が負担できない場合は、扶養義務者が負担
 (扶養義務者の収入に応じて額を設定)

障害者自立支援法施行後:
1.利用者本人による負担のみ
2.扶養義務者の負担を廃止
3.扶養義務者の負担はないが、但し、利用者本人の負担の上限額は、世帯の収入に応じて設定


【扶養義務者の範囲】

20歳以上の障害者の場合 … 配偶者、子
20歳未満の障害児・者の場合 … 配偶者、父母、子
どちらの場合も、障害者と同一世帯であり、かつ、生計が同一範囲内であること
直系血族および兄弟姉妹の扶養(民法上の扶養義務)は強制しない


【応益負担上限額設定の際の収入の範囲】

以下の2つの考えがあり、法案づくりの過程でも、なかなか考えが統一されなかった。
このため、これについては、再検討されることもありうる。

1.本人の収入だけを見るべき

・障害者の自立を促進してゆく観点上、当然である。
(しかし、現実には、自己負担が導入されても、絶対的な財源不足に対してはスズメの涙。)

2.世帯全体の収入を見るべき

・社会保障制度全体の整合性を考えると、世帯全体の収入を見るべきである。
(世帯全体の収入を見ることによって、自己負担による財源確保額を少しでも多くできる。)

・より強い扶養義務が課される配偶者を除外してしまうのは不適当である。
(配偶者は障害者の生活を助けるべきであるから、配偶者の収入も自己負担額に反映させるべきである。)

・本人は健康保険や税制面で恩恵を受けている(収入からの事実上の控除)のだから、さらに特別な扱いをするのは不適当である。
(本人の収入だけを自己負担額の算定のときに見ると、国や事業者にしてみれば、入ってくる代金が下がってしまう。)
(障害者だからといって「何でもかんでもサービスして安くする」というのは、変化する時代にそぐわない。)

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