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2005/08/13

衆議院解散~障害者自立支援法(案)廃案後

衆議院解散によって障害者自立支援法(案)が廃案になったため、このままでは、今年度の支援費制度(現行の障害者施策)で最低170億円もの財源不足が生じる。
これは、障害者自立支援法の成立を前提として組まれていた今年度予算の、国庫負担金や国庫補助金を使用できないため。
今年度の国の予算930億円のうち、160億円が新制度への移行を前提とした国庫負担金や国庫補助金で、ほか10億円が「原則1割負担」に基づく財政効果であった。

不足分は市町村による負担になるが、財政事情が厳しい市町村が多数を占めるため、サービスの利用が著しく制限される可能性が非常に高まっている。
つまり、障害者自立支援法(案)が廃案になったからといって、ただ単純に喜ぶべきことでもないのである。むしろ、廃案によって緊急事態の度がさらに高まってしまった、と言ったほうがよいだろう。
言い替えるなら、障害者自立支援法での「原則1割負担」は、ある意味では「必要悪」と言えるかもしれない。
もちろん、170億円もの財源不足を招いている支援費制度を平成15年度から始めるにあたって「きちんとマーケティング(障害者のニーズや現況の調査)を行なったのか?」ということは、厳しく追及されなければならないが。

現在、支援費制度における国と都道府県の予算(補助金)は「裁量的経費」である。
が経費全体の2分の1を、都道府県が経費全体の4分の1を負担し、残り4分の1を市町村で賄う。
裁量的経費は、「障害者施策以外の予算の枠も含めていろいろとやりくりし、工面の結果、支出できれば支出する」という消極的なもので、サービスの質の低下を招きかねない。
国や都道府県の予算が不足してくるとそのツケは市町村に廻り、市町村は、自らの市町村予算をやりくりして工面しなければならない。裁量的経費である以上、国や都道府県がさらに負担する義務はないからである。
障害者自立支援法では上記の負担割合は変えずに原則1割負担を導入するとともに、実は、平成18年1月から、上記を「義務的経費」に変更することになっていた。
義務的経費は、「国と都道府県の責任によってきちんとサービスを提供する」「そのための経費は必ず出す」ということを明確に打ち出すもので、高く評価されてもよいものだ。「原則1割負担」だけにとらわれていてはならない

現在、政局が著しく混乱しており、現・野党である民主党による政権樹立も取りざたされている。
仮に民主党政権ができると、民主党が障害者自立支援法(案)に対する反対の立場を非常に明確に打ち出しているため、現・支援費制度のさらなる財源不足が懸念されよう。
カネが足りなくなれば、サービスを提供しようがなくなる。だから、ただただ法案に反対すればよい、というものではないだろう。きちんとした対案を明確に提出してほしいものである。
しかし、それができている政党や障害者団体は、私の知るかぎり1つもない。ただ「反対」しているだけだ。
これでは、国によって押し切られてしまっても、とても文句を言える立場ではないのではなかろうか?
民主党ばかりではなく、もちろん、障害者ひとりひとりについても言えることだ。

いずれにしても、先の見通しが全く立たず、これからどうなるかがわからない。
なお、尾辻厚生労働相は、8月10日の閣議後記者会見の場で「障害者自立支援法(案)は日本の障害者施策にとって画期的なものである」とし、法案を今秋の臨時国会へ再提出、早期成立に向けて全力を挙げてゆく強い決意を表明している。


尾辻厚生労働大臣 閣議後記者会見 質疑概要
(平成17年8月10日 10:18~10:32)

記者
障害者自立支援法案が衆議院解散で廃案になってしまったが、今後の再提出の可能性などは?
大臣
障害者施策は谷間になっていたと考えており、その谷間をとにかく埋めてゆきたい。また、「谷間の谷間」とでも言うか、精神障害者に対する施策がさらに谷間になっていた。そうした谷間を埋めるべく、今回の法案を出した。
自画自賛するわけではないが、日本の障害者施策にとっては画期的なものだと考えている。頓挫させてはならず、次の臨時国会でも早急に成立するよう、引き続き全力を挙げて努力したい。
記者
国会でもさまざまな審議があったが、修正を加えるということは考えているか?
大臣
やはり、一番の問題点は、障害者に一割負担を求めるというところ。しかし、「その他の制度との整合性」や「将来の介護保険の普遍化」などを考えると、どうしても一割負担は言わざるを得ない。
実質一割負担が厳しい障害者も非常に多いが、既に十分配慮しているものと考える。
反省点としては、国会で十分説明できず、障害者にも十分理解されなかったようだ。再度十分に説明し、理解を得られるものと考えている。それが修正云々よりも本来の姿。
記者
骨格云々や一割負担のところも含めて、ほぼそのままか?
大臣
変える必要はないと考えている。
記者
臨時国会でも成立がむずかしくなれば、現行の支援費制度の予算不足になる。その点については?
大臣
選挙結果がどうなるかわからず、その後も全く予想できない。臨時国会がどうなるかも予測がつかない。大臣としては何も言えない。
しかし、自立支援法案はとにかく早期に成立させないと、日本の障害者施策が前に進んでゆかない。これだけは何が何でもと考えている。
ただ、確かにこのまま支援費制度のままだと予算はどうなるか、金が足りるのかと言われると、大変厳しいと言わざるを得ない。

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コメント

はじめまして。私は高機能自閉症と診断された当事者です。
障害者自立支援法が成立するか否かが叫ばれています。
私は、障害者自立支援法が、何も背景も言わないで「反対!」と叫ばれていることに、疑念を抱きました。
ちなみに、私は賛成も反対もないです。
もう少し冷静に見極めたいと思っているのです。
このブログを見させていただいて、非常に内容があるなと思いました。

投稿: みっちゃん | 2005/10/26 16:42

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