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2006/06/20

補装具~補聴器の修理

私が使っている高度難聴用耳掛形補聴器の左耳側の音が、全く出なくなってしまった。
この季節になると、どうしても発汗が多くなるが、実は、耳掛形補聴器は汗にきわめて弱いのである。
流れ出た汗が補聴器内の精密部品や接点部にほんのわずか付着してしまっただけでも、すぐに故障の原因となってしまう。

高度難聴用耳掛形補聴器、それも、私が常用しているようなフルデジタルタイプになると、片耳だけで数十万円も出さないと買えない。
もちろん、修理代もバカにならない額になる。
身体障害者手帳が交付されていれば(=身体障害者福祉法による身体障害者として認定されていれば)、補装具交付制度というものによって、購入・修理のときに補聴器代(の一部)が公費負担される。
とはいえ、それでも自己負担額は高額になってしまう。

そんなわけで、急遽行きつけのワールドパイオニア内にある「にっこり補聴器屋さん」(東京・中野)に出かけ、まずは修理代の見積を出してもらった。
補装具交付制度に基づく公費負担を受けようとするときには、まずそこからスタートしなければならない。

高度難聴用耳掛型補聴器レシーバー交換」および「耳掛形補聴器スイッチ交換」という内容で出してもらった見積額は、計18,540円
レシーバーが15,000円、スイッチが3,000円で、その合計額に対して100分の103を掛けた額になっているのだが、実は、商品価格に対して100分の103を掛けた額を見積額とする、という決まりがある。
「『消費税相当分』を『現実の消費税5%に対する6割』とする」、という定めになっている(監修:しゃろおむ)そうで、ゆえに3%を加算して100分の103として見るのだという。
余談だが、消費税が3%だったときには、その6割の1.8%を加算して、100分の101.8だったそうだ。
この決まりは、「補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準」。厚生労働省による告示(昭和48年6月16日付け 厚生省告示第171号)である。

この告示の中で定められている内容に合致しなければ、購入・修理の際の公費負担はなされない。
見積書上に記載する修理(または購入)の内容についても、この告示に基づく文言(つまり、今回の場合は「高度難聴用耳掛形補聴器レシーバー交換」「耳掛形補聴器スイッチ交換」)を一字一句間違わずに記載しなければならない。
そして、見積書の宛先は、実は、障害者本人ではない。市区町村の福祉事務所長宛にしてもらう必要がある。
さらに、見積を算出した業者が市区町村の指定業者になっていない場合には、別途、業者に対して「当該市区町村の指定を受けて下さい」とお願いする必要もある(実際には、見積書を市区町村に提出した段階で、未指定の業者でも指定業者とする、という処理が行なわれている<私が在住する市の場合>。)。

ここまで読んでいただいて気づかれたと思うが、とにかく、非常に煩雑だ。
大急ぎで補装具がほしくても、決してすぐには出ないのだ。
早い話が、決して障害者の立場に立った制度ではないのである。

見積書を書いてもらったら、市区町村の福祉事務所(障害福祉担当課)に提出する。
すると、だいたい1週間~10日前後で、市区町村から認定が下りる(同時に、業者に対して「補装具交付・修理券」が送られる<本人に対して送られ、それを本人が業者に持ってゆく場合もある>。)。

認定書(補装具交付・修理通知書)には、費用概算額本人負担額などが記されている。
この認定書(および、もし本人に「補装具交付・修理券」が送られてきた場合にはそれも。)を持って業者に行くと、そこで初めて、補装具を手に入れることができる。
逆に言えば、「補装具に該当するものを先に業者から購入したり修理してもらって、あとから福祉事務所に申請」しても、決して公費負担はなされない。認めてくれないのだ。十分な注意が必要である。

私の場合、修理代18,540円に対する自己負担額は1,450円だった。
もちろん、この額にも細かな基準がある。

この基準は、「更生医療の給付又は補装具の交付若しくは修理を受ける者の負担すべき額の認定方法について」という、厚生労働省通知(昭和48年4月20日付け 厚生省社会局長通知 社更第71号)。
この基準の中で、「障害者本人の属する“世帯”の所得税および市町村民税の課税額によって、障害者本人から徴収する自己負担額(月額単位)を決める」ということが定められている。
私の場合は、「所得税非課税世帯で、かつ、市町村民税の所得割が課税されている世帯」、つまりは「C2区分」ということで、自己負担額は本来ならば2,900円になる。
但し、「世帯の所得税額が一定基準を下回り、かつ、障害者本人が世帯主(最も収入が多く、かつ世帯主であること)であるときは、その自己負担額は2分の1でよい」という特例があるので、上述したとおり、自己負担額は1,450円となった。

先ほど記した「補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準」では、その内容ごとに公費負担基準額(公費負担できる上限額)が定められている
「高度難聴用耳掛形補聴器レシーバー交換」が15,000円×100分の103で15,450円、「耳掛形補聴器スイッチ交換」が3,000円×100分の103で3,090円。それぞれ、この額が上限だ。
今回はたまたま、それぞれ、この上限額目いっぱいで見積もられているが、自己負担額というのは「この18,540円のうち1,450円はあなたが負担しなさいよ」ということを意味しているので、実質、公費から支出される額は、差引17,090円ということになる。
ただ、市区町村によっては、公費負担基準額のうちの自己負担額分(上記の例では1,450円の部分)を、あとからまるまる独自補助(実質免除)してくれるケースも少なくない(但し、「自己負担額」をいったんすべて業者に支払ったあとで。)。
私が在住している市でもそうなっているので、私の場合は結果的に、自己負担額はゼロとなった。

ちなみに、この10月から障害者自立支援法により、補装具の交付・修理に係る自己負担額が原則1割となる。
これも「公費負担基準額に対しての1割」という意味であるだけで、基本的な「自己負担額」の出し方は、上述した内容と変わらない。
たとえば、私の上述の例の場合であれば、「18,540円のうち1,854円はあなたが負担しなさいよ」ということになるので、公費から支出される額は16,686円となる。
なお、上述した独自補助については、10月以降、全国的に縮小・廃止される方向であることを書き添えておく。

実際には、商品価格が公費負担基準額を上回ることも多い。
高度難聴用耳掛形補聴器の場合、特に感音性難聴では、音質がきわめて良いフルデジタルタイプでなければ使い物にならないのだが、片耳だけで20数万円もしてしまう。
公費負担基準額が約67,000円なので、それを上回る部分については、自腹で負担するしかない。
そもそも、67,000円という公費負担基準額が、難聴者の補聴器の使用実態と著しくかけ離れている、と思えてしかたがない‥‥。

とにかく、あれやこれやと非常にめんどうくさい手順を経て、やっと、修理が終わった補聴器を手にしたのであった。
その日数は、ほぼ1か月近く。
その間、ワールドパイオニアから代替の補聴器を借りていたが、正直言って、聴こえ方が全く異なるために相当の違和感があり、精神的に疲れることが多かった。
障害者は障害そのものによって苦労を重ねることが多いが、それ以上に、障害者を取り巻いている社会や制度のしくみによって苦労を重ねざるを得ないのではないか?
そう思わずにはいられなかった‥‥。

【おことわり(6月24日)】
実は、6月20日にアップロードした内容に一部誤りがあることを、しゃろおむ(妻)から指摘されました。
このあたりは、しゃろおむのほうがずっと詳しいんですよねぇ‥‥。
なにしろ、しゃろおむは、補高靴を補装具として申請したときをはじめ、補装具や日常生活用具に関する経験や知識が豊富で。
そこで、しゃろおむの監修の下、6月24日付けで正しい内容に書きあらためています。

※補高靴‥‥しゃろおむは下肢障害のために左右の脚の長さが異なるんですが、補高靴とは、それを補正するための特殊な靴です。

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