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2007/07/31

厚生労働省、障害者就労支援専門職創設へ

厚生労働省は7月23日、障害児・者が通う特別支援学校(養護学校)や福祉施設と企業との間を橋渡しする、障害者就労支援専門職の創設を打ち出しました。

これは、障害者自立支援法で明確にされた障害者就労支援策をより確実なものにしてゆくための一環で、雇用・福祉・教育の連携をよりスムーズに進める調整役の育成もめざしています。
年内にも有識者研究会が設置され、国の外郭機関などが認定するシステム(厚生労働省所管の独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」による研修・認定を前提とする方向。ちなみに、同機構は現在、ジョブコーチ事業などを専門職員養成の形で支援しています。)を念頭に置いた具体的な制度が検討されることになりました。

この制度の主な対象となるのは、現在、既に職場適応援助者事業(ジョブコーチ事業)などの障害者就労支援に取り組んでいる、社会福祉法人や特定非営利活動法人(NPO法人)などの職員。
一定の経験年数や研修の受講を専門職認定要件とする方向で、障害者就労支援に取り組んでいる福祉職員の資質向上・キャリアアップも意図されています。

このような動きと合わせるかのように、厚生労働省の障害者雇用関係の研究会は7月27日、「障害者雇用促進法に基づく雇用義務障害者数の算定の際に、パートタイム労働者も分母に加えよ」との報告書(案)を公表しました。
厚生労働省職業安定局「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会」)

現在、民間企業が雇用しなければならない障害者の割合は、障害者雇用促進法施行令第9条により全従業員数の1.8%(ちなみに、昨年6月1日現在の実雇用率は1.52%)ですが、分母となる全従業員数にはパートタイム労働者は含まれていません。
そのため、報告書(案)による法改正が実現すれば、パートタイム労働者の比率が高い企業など(特に大手スーパーマーケットなど)を中心に、法定の雇用障害者数の増加が期待できます。
厚生労働省は最終的な報告書をまとめた後、厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会に議論の場を移して、来年の通常国会に関係法の改正案を提出する方向になっています。

平成19年版の障害者白書によると、平成19年2~3月に障害者団体の協力によって行なわれた障害者意識調査(約5000人中1400人が回答し、回収率28%。私も回答。)では、「もっと働けるようにするための法整備が必要だ」と感じている障害者が約80%にものぼっています。
同時に、「最近10年間で働きやすくなったか?」との問いには39.5%が「変わらない」と答え、「働きやすくなった」の36.0%を上回ってしまいました。
また、この意識調査では、就労に関する企業の差別や認識不足も浮かび上がっています。
「障害を理由に、就労に関して差別を受けたと感じたことはあるか?」との問いに、「少しある」が32.9%、「とてもある」が19.2%を占め、何らかの差別・認識不足の影響を受けている障害者が過半数にのぼっているのです。

障害者雇用率を上げるための取り組みの必要性は、言うまでもないことです。
しかし、その前提として、障害や障害者に対する理解がより進んでゆかないといけません。
そのためには、障害者団体や国・自治体による啓蒙なども大切ですが、障害者自身がもっともっと声を大にしてゆかなければならないと思います。
障害者白書は「障害を理由とした差別の禁止や権利擁護のために、よりいっそうの取り組みが必要である」と指摘していますが、障害者差別禁止法などの形で明確に法律に位置づけ、加えて、厳しい罰則も設けるべきでしょう。

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