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2007/10/12

障害福祉施策と財源

10月8日付けの読売新聞によると、政府・与党は、年収160万未満の低所得者層を主な対象に「老齢基礎年金の加算制度」を導入してゆく検討を始めたそうだ。
この加算制度は、現行の老齢基礎年金を約66,000円/月から約83,000円へと、約25%アップさせるもの。
合わせて、低所得者層に限定し、「障害基礎年金(2級)も約66,000円/月から約83,000円(1級相当)に引き上げる」という。

基礎年金の財源は、国民ひとりひとりが支払っている国民年金保険料(厚生年金保険料なども含む)と、国庫負担から成っている。
現在、国庫負担の割合は3分の1(国民年金保険料の全額免除を受けた人が受け取れる年金額が3分の1になってしまう、というのはこれが根拠。)だが、法改正により、2009年度までに2分の1に引き上げなければならないことになっている。
このため、加算制度の導入は、この引き上げと合わせての実施をめざしているという。

加算制度の導入に必要な財源は、税金で賄う方針。
だが、試算によれば、約5,000~9,000億円にものぼるそうだ。
基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げと合わせると、数兆円~数10兆円もの財源を新たに確保しなければならない。
いったいどこにそんな財源があるというのか?

現在の税制の中でのやりくりは、どう考えてもできるはずがない。
消費税の税率を倍にし、福祉目的税化して使途を社会保障に限定するか‥‥。
あるいは、20歳から介護保険に強制加入させてその保険料の一部を充てるなどか‥‥。
財源を確保するための具体的な方法が明確にされなければ、上記の施策が実行に移されたあと、ツケは必ず国民に回ってくる。
障害基礎年金の増額などは、一見障害者にとってメリットがあるように映る。
が、決してだまされてはいけない。

ただ、舛添厚労相は10月8日、記者団の質問に対して「このような検討の事実はない」と否定している。
読売新聞のスクープか、あるいはガセネタなのか?
真相は闇の中であるが、いずれにしても、基礎年金の国庫負担割合の引き上げは既に決まっており、国が現在以上に財源の確保に苦慮するのは必至だ。

一方、政府・与党は、民主党が国会に提出した障害者自立支援法改正案に同調する形で、障害者自立支援法による原則1割負担を当面見直す方向だという。
しかし、福田首相は自民党総裁選の公約で障害者自立支援法の抜本的な見直しを約束したが、この度の国会の施政方針演説では一言も触れていない。
いったいどのように見直そうというのだろうか?

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障害者自立支援法及び児童福祉法の一部を改正する法律案 要綱(民主党案)


第1 障害者自立支援法の一部改正(第1条関係)

 1 障害者等が障害福祉サービスを受けたときに要する費用に係る自己負担の額については、その経済的負担の軽減を図るため、当分の間、現行の1割負担を凍結し、障害者等又はその扶養義務者のうち政令で定めるものの負担能力に応じたものとすること。
 2 国及び地方公共団体は、当分の間、障害福祉サービスの円滑な提供の確保を図るため必要があると認めるときは、指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設の設置者に対し、財政上及び金融上の支援を行うものとすること。

第2 児童福祉法の一部改正(第2条関係)

 1 障害児が障害児施設支援を受けたときに要する費用に係る自己負担の額については、その経済的負担の軽減を図るため、当分の間、現行の1割負担を凍結し、障害児又はその扶養義務者のうち政令で定めるものの負担能力に応じたものとすること。
 2 国及び地方公共団体は、当分の間、障害児施設支援の円滑な提供の確保を図るため必要があると認めるときは、指定知的障害児施設等の設置者に対し、財政上及び金融上の支援を行うものとすること。

第3 その他(附則関係)

 1 この法律は、平成19年4月1日から施行するものとすること。
 2 所要の経過措置を定めるものとすること。

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民主党案にも、重大な問題点がある。
「原則1割負担を凍結し、措置制度や支援費制度のときと同様の応能負担(負担能力に応じた費用負担)に戻す」というのが法案の趣旨だが、その分だけ歳入が減ることになる。
減った分の財源が確保できなければ、あっという間に破綻するはずだ。
そもそも、財源の確保がままならなかったからこそ支援費制度がたった数年で破綻し、障害者自立支援法が導入されたのではなかったのか?
ならば、支援費制度と同様のしくみに戻すことは、全く意味がないのではなかろうか?

基礎年金の加算制度にしても、障害者自立支援法にしても、一見、障害者にとっては「おいしい」話題だろう。
しかし、しつこいくらい言ってしまうが、決して、目先のエサにだまされてはいけない。

「いったいどこから財源を持ってくるのか?」ということが明確にされていない以上、一時しのぎの政策に過ぎない。
したがって、定率減税の廃止による税負担アップと同様のツケが、いずれ私たちに跳ね返ってくる。
「安物買いの銭失い」とはよく言ったものだ。
だからこそ、障害者は、「政策を見きわめる目」と「政府・与党への発言力」をより養わなければならない。

「安ければ飛びつく」というのは考え物だ。
障害者であっても負担すべきものはきちんと負担し、そのことによって、堂々と不満を口にしていったらよいのではないか?
負担するべきものを負担しないでよいようになるから、負い目や後ろめたさで物が言えなくなってしまう。
そういった面もあるのではなかろうか。

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